みずみずしさと紫外線防御効果を両立させた世界初※1の技術を生み出したのは、2人の同期の熱い「化学反応」だった!

水VS油、溝VS丘、立ちはだかる壁の隙間に見えたミクロンカプセル

ミクロンサイズの隙間をどうしたら埋められるか、UVチーム、解析チーム、加工プロセスチームのメンバー達とその研究が始まります。「わかってきたのは、塗膜を均一にするためには、これまでの延長線上のアプローチだけではダメだということでした」と長澤さん。肌の表面には、皮溝(ひこう)と呼ばれる溝があり、その間に皮丘(ひきゅう)と呼ばれる丘の部分があります。皮溝の溝に落ちてしまうと「剤」は皮丘に残らず、皮丘に密着すると「剤」で皮溝を埋めることができない……そんなジレンマに襲われることになりました。

「UV防御剤は種類が少ないので、組み合わせや量の調整などできることは限られている。やれることに限界を作らず、とにかくやってみよう」とメンバー達がお互いに励まし合いながら研究は続きます。UV防御剤を何度も組み合わせ、水のベースと、油のUV防御剤の配合量のバランスをひとつひとつ変えながら、何度も何度もトライ。しかし、UV防御剤の油が肌に触れるとみずみずしい使い心地はなくなり、また、“水の相”が揮発するとどうしてもUV防御剤の隙間ができてしまうという結果の繰り返しでした。

「このままでは無理かもしれない」──行き詰まりを感じていたある日、あるメンバーがほかの目的で開発していたマイクロカプセルの研究をたまたま見ることに。水相にカプセルが分散する様子を見て、「これだ!」とひらめきます。

UV防御剤をこのミクロンサイズのカプセルの中に入れて、それを大量にジェルの中に入れれば、水分が蒸発しても膜の表面にカプセルによる均一の膜ができるのではないか。これで「隙間やムラ」が解消できるはず! UVチーム、解析チーム、加工プロセスチームのメンバー達がタッグを組んで、研究開発はスピードアップしていきます。

花王スキンケア研究所主任研究員
長澤英広さん

1998年花王に入社。スキンケア研究所で保湿製剤の開発研究を担当。2014年から日やけ止めの開発研究にかかわる。

2016年に、従来のUV防御剤をウォーターカプセルに包み込んだ“ウォーターカプセル化技術”に、UV防御剤をミクロンサイズのカプセルに詰めて“水の相”に大量に分散させる新技術を加えることで、高いUV防止効果を均一に塗布できる日やけ止めの開発に成功したのです。その後、安全性や効果の検証を人の肌で行う等さまざまな検証結果を経て、ようやく2018年秋に新技術の発表、2019年に新しいウォーターベースの日やけ止めの発売を迎えることに──。

※1 独自製法により、ベヘン酸グリセリル、ジステアリン酸ソルビタンを含む両親媒性成分(水にも油にもなじむ性質)からなる“UV防御剤内包カプセル”を配合した日やけ止め処方(先行技術調査及びMintel Japan社データベース内2018年7月花王調べ)。

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