カタチ、サイズ、機能……
500種類を試作して

月井 それまで、日やけ止めの膜がどのぐらい紫外線を吸収するか、跳ね返すかというのは緻密な計算によってわかっていました。日やけ止めの適量はどうかなどもシミュレーションによって導き出されていた。でも、実際には違ったんです。

──溝というのは、皮膚のキメの凹凸の皮溝(ひこう)のことですよね。そこに日やけ止めの膜が落ちていたのですね。

菊池 はい。日やけ止めを塗ると、膜が皮溝の溝の部分に落ちてしまい、皮丘の上には残っていない状態でした。どのタイミングでそうなるのか、なぜそうなるのかを突き止めるために、動画での解析技術の開発が始まりました。

月井 UVチームと加工プロセスチームは、膜が溝に落ちないようにするにはどうしたらいいか、とにかくありとあらゆる“素材のカタチ”を試しました。日やけ止めに使われる紫外線(UV)吸収剤は油性なので水に溶けず、そのままだと伸びにくいべたついたテクスチャーになります。そのため、水の相の中に油の“玉”を入れるという方法で、肌にスッーと伸びてみずみずしい付け心地にしている。そこで、溝に落ちないように皮丘に足場を作ることを考えたり、UV吸収剤の油の玉のサイズを変えたり、コーティング剤を変えたり。

──そんなことができるのですね。どのぐらいの種類を試したのですか?

月井 400〜500は試したんじゃないでしょうか。1年以上、作っては解析してもらい、作っては解析してもらって(笑)。

菊池 そうだったね。そのころ、解析チームでは、日やけ止めの「水」と「油」の解析も進んでいて、それで、新しいことがわかってきた。溝に落ちていたのは、水の相でその水分が蒸発すると、溝にUV吸収剤が残っていなかった。つまり、問題は丘ではなく溝だった。丘はUV吸収剤で覆われていたけれど、溝にはなかったんだよね。

「解析」の菊池

月井 日やけ止めを塗って水分が乾いた後、溝に落ちた水分が乾くと膜が途切れてしまう。水の相だけが溝に落ちないようにするにはどうしたらいいか、油の玉を丘にも溝にも均等に残すにはどうしたらいいか、考えられることにすべてトライしました。でも、ベストな方法は見つけられなかった。

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