東京
2019
9 / 2
26.33
UV指数 6
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WHO : Global solar UV index-A practical guide-2002

ミクロンサイズでムラなく塗れる
世界初※1の日やけ止めの実現は、
「肌のグーグルマップ」開発の成功にあり!

炎天下の運動で、やけない効果を実証!
「肌を守る、日やけ止めにゴールはない」

各部門のスペシャリストが集結し、「日やけ止め開発合同プロジェクト」が始まってから1年後の2015年。それまで見えなかった「肌に塗った日やけ止めのミクロの膜」の可視化にようやく成功します。「ついに、と思いました。3年がかりでしたが、ようやく肌の上で何が起きていたかがわかった瞬間でした。膜が途切れて溝にUV防止剤が残っていなかった。同時に、新たな長い道のりの始まりでもありました」。

まず、解明しなくてはならないのが、ミクロレベルで「膜」が途切れるのはなぜかということ。それは進化した動画版の「肌のグーグルマップ」が解き明かしてくれます。肌に塗った後に、時間の経過とともに水分が蒸発すると、UV吸収剤が残らない部分ができていたのです。“みずみずしさ”を追求したジェルタイプゆえのことでした。

「水と油、相反する素材をどう融和させるか、水に油の成分をどう分散させれば、肌の丘にも溝にも均一に留まって持続できるのか。考えれば考えるほど難しい課題でした」。プロジェクトチーム全体で改めて、素材の選定や組み合わせの方法の追求、加工技術の開発がスタート。しかし、何度繰り返しても答えに続く道にさえ、たどり着けそうにはありませんでした。

ところが、別の目的で開発が進んでいたマイクロカプセルの存在によって、突然、目の前の霧が晴れることに──。そのマイクロカプセルを使って、膜の表面に紫外線吸収剤による均一の膜を作ることに成功したのです。このミクロディフェンス処方は、見事に「肌のグーグルマップ」によって実証され、商品化が決定しました。

さらに、福井さんたちは、商品の安全性や効果を「自分たちの肌」で実験。2018年8月に、研究所の屋外で運動を行ないます。研究員が裸の上半身に日やけ止めを塗り、35℃の猛暑の中で長時間運動を行うという過酷な実験。でも、その間、日やけ止めの効果は見事に持続し、汗では落ちないことも確認できたのです。

開発の成功により、「合同プロジェクト」は解散しましたが、「発想や物の見方が異なるスペシャリストが、同じ空間で、常に相談し合い、時に議論を戦わせながら、一つのものを作り上げていくというのはとても刺激的でしたね」と福井さんはふり返ります。

「私たちの肌は紫外線だけでなく、さまざまな過酷な環境にさらされています。日やけ止めは、その環境から肌を守る、いわば人を助ける製品だと思っています」と福井さん。だからこそ、毎日塗って肌に負担をかけず、しっかり肌を守れるものを追求していきたいし、自信の持てる商品を世に出したい、と。「環境は変化していくものだし、日やけ止めにゴールはありません」。福井さんの「日やけ止め」への飽くなき挑戦はこれからも続いていきます。

右のブルーのパッケージが、ミクロディフェンス処方の「ビオレUV アクアリッチ」。左は、タフブーストTechを加え、さらにヨレや擦れに強くスポーツ時などに強さを発揮する「ビオレUV アスリズム」。

構成・文:中能 泉(なかよくオフィス) 写真:サトウノブタカ

※1 独自製法により、ベヘン酸グリセリル、ジステアリン酸ソルビタンを含む両親媒性成分(水にも油にもなじむ性質)からなる“UV防御剤内包カプセル”を配合した日やけ止め処方(先行技術調査及びMintel Japan社データベース内2018年7月花王調べ)。

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