今、注目される近赤外線とは
専門医に聞く!近赤外線ダメージと対策 第1回

環境変化に伴って、今や年間を通して必要だといわれている紫外線対策。
さらに最近では、近赤外線の影響も注目されるようになり、よりトータルな太陽光線対策が求められるようになってきました。本シリーズでは、皮膚科医であり、近赤外線研究会(現日本フォトダーマトロジー学会)前理事長である川島眞先生に、これからの季節に向けて知っておきたい、近赤外線を含めた太陽光線の影響と対策についてお話を伺っていきます。

太陽光線の影響って、
紫外線だけではないのですか?

太陽光線には、可視光線よりも波長の短い「紫外線」、「可視光線」、可視光線よりも波長の長い「赤外線」の3つの領域の光線があります。なかでも一番パワーの大きい紫外線の害は、早くから研究が進み、広く知られるようになりました。近年になって、ようやくブルーライトの眼や肌への影響や、赤外線の害についても少しずつ注目されるようになってきたという状況ですね。

太陽光線の波長の長さ

赤外線は、
肌にとって良い?悪い?

そうですね。可視光線がなければ、暗闇の世界になってしまう。赤外線は、からだをポカポカ温めてくれる。どちらも、人間にとって不可欠なもの、良いものと考えられてきました。しかし、その「光線作用」も「熱作用」も、一定の時間、距離、強さを超えると、人間に害を及ぼすことが想像できるでしょう。美容機器に使われる赤外線も、肌に無制限に照射すれば効果が上がるどころか、火傷を起こしてしまいます。私たちはそこに着目し、太陽光で肌に到達する近赤外線の害についても研究と情報発信を進めていくことになったのです。

近赤外線の肌への影響は、
紫外線とはまた違うのですか?

紫外線のUVB(中波長)は、表皮の炎症を起こし、炎症物質サイトカインを産生してメラノサイトの活性化を促し、シミを作ります。UVAは、UVBよりも少し波長が長く、皮膚の真皮内まで入って、コラーゲンや弾性繊維のエラスチンの産生を阻害することで、シワの原因になります。近赤外線はUVA、UVBよりも波長が長く、肌のさらに深いレベルまで到達すること、また、“肌のたるみ”の原因となることがわかってきました。たるみという現象は、紫外線では到達しない筋膜から筋肉のレベルで起きるもの。そこに作用する太陽光線は、近赤外線であろうと考えられるようになってきたのです。

紫外線(UVA/UVB)と近赤外線の浸透度の違い

POINT OF VIEW

太陽光でなく、美容機器を活用した近赤外線照射は、
使い方次第でシワ改善に!

近赤外線はもともとシワを改善する美容機器で活用されていました。定められた時間・量・強さで、近赤外線を照射すると、皮膚温度を一瞬上げることができます。これによって、線維芽細胞に働きかけ、コラーゲン等の産生を促し、肌のシワを改善し、ハリを与えることが期待できるのです。

川島 眞先生
1978年東京大学医学部卒業。アトピー性皮膚炎をはじめ、美容、皮膚ウイルス感染症、接触皮膚炎などを研究してきた東京女子医科大学名誉教授。日本香粧品学会前理事長、日本美容皮膚科学会前理事長、近赤外線研究会(現日本フォトダーマトロジー学会)前理事長、日本コスメティック協会理事長、皮膚の健康研究機構副理事長。
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