第2回 近赤外線までカットし、ジリジリ感を防ぐという新たな挑戦!
紫外線A波B波をしっかり防ぐのはもはや当たり前! 日やけ止めには+αの高機能さが求められる時代です。最新の日やけ止めはなんと、日差しを浴びて感じる「ジリジリとした不快感」にも対応するという頼もしさ!花王の最新日やけ止め研究について、引き続き主任研究員の福井さんにお話をうかがっていきます。
ジリジリ感のもと
=近赤外線を防ぐための秘策とは…
門司さん 「近赤外線」に着目した日やけ止め。これまでのものは肌へのダメージにはアプローチしていましたが、「ジリジリとした不快感を防ぐ」というのは斬新なコンセプト!
福井さん 近赤外線を散乱してカットする素材はこれまでも存在していましたが、肌の表面温度の上昇を抑える効果は十分ではありませんでした。どれくらい近赤外線を防いだらジリジリしないのか、ということで、幾重にも実験&検証を行ったんです。
門司さん 近赤外線による皮膚温の上昇を防ぐためには、どのような技術が必要なのでしょうか⁉
福井さん 近赤外線は波長が長いためすり抜けやすく、それだけを防ぐのは難しい課題でした。具体的な技術としては…これまで採用していた球状の酸化チタンでは波長の長い近赤外線はすり抜けてしまうので、長い波長にも対応できるよう板状の素材を開発。酸化チタンの膜厚をコントロールし、可視光線は通しながら近赤外線だけを選択的に防ぐ技術を採用しました。
門司さん 素材自体から見直したことで、近赤外線によるジリジリ感をカットして、皮膚温の上昇を防ぐ日やけ止めの完成に至ったというわけですね!
POINT OF VIEW
近赤外線を防ぐとジリジリ感がなくなるのは本当だった!
独自の機械を使用し、「紫外線のみブロックした場合」と「紫外線+近赤外線をブロックした場合」の体温上昇を比較する実験をエディター・門司が体験! 体感でももちろん、近赤外線カット=ジリジリとした不快感が抑制できるのを実感。
サーモカメラで皮膚温上昇をチェックしてみると…「紫外線のみブロックした場合」(右手)は皮膚温の上昇がみられますが、「紫外線+近赤外線をブロックした場合」(左手)は皮膚温の上昇はほとんどナシ。近赤外線をカットすることで皮膚温の上昇が抑制され、ジリジリとした不快感も抑えられるということは明らか!
近赤外線を防ぐには、
透明な素材ではムリ⁉
福井さん でもやはり「近赤外線のカット」はかなり難題でして…赤色の可視光線に近い波長なので、完全に防ごうとするとどうしても透明なものではなく「白い素材」になってしまう…。イメージするなら、住宅に使われる白い断熱材と同じようなもの。でも肌にのせたときに白くなってしまうと、日やけ止めとしては好ましくない…。白残りを抑えつつ、日やけ止めとして心地よくお使いいただける感触に落とし込むのにかなりの時間を要しました。
門司さん 「感触のよさ」は日やけ止めにとって重要! 使用感がよくないと、いくら効果が高くても、使い続けたいという気持ちにはならないですからね。
研究員直伝!
"白さ"を感じさせない、塗り方のコツも伝授!
福井さん なるべく白さを抑えた仕上がりにはなったのですが、やはり多量に一気にのせてのばそうとすると白残りが気になることも…。少量ずつ「点置き」で肌にのせ、塗り伸ばしていくのがポイントです。点でのせて、全体に広げて…を2回繰り返してみてください。
門司さん 線置きではなく、「点置き」ですね! 最近、つけているのを忘れてしまうほど軽い仕上がりの日やけ止めもありますが、ある程度"覆われている感"のあるものは、より日焼けしないかも、というような安心感につながる気もします。皮膚温上昇を抑えてジリジリ感を解消してくれる効果があるうえで、"白さ"を感じさせない自然な仕上がりになるのなら、このひと手間、かけるだけありますね!
近赤外線ケアは
アウトドアをより快適な時間にする鍵!
福井さん 屋外で長時間過ごすときや、日傘をさせないシーンなどでは、「近赤外線」をも防ぐ日やけ止めはとても重宝するのでは、と思います。
門司さん これまでのものとはまったく違う効果を伴った日やけ止めを手にすることは、日差しが強くなる季節をより快適に過ごす秘訣ですね!