東京
2019
9 / 2
26.33
UV指数 6
詳しくはこちら
WHO : Global solar UV index-A practical guide-2002

今、注目される近赤外線とは
専門医に聞く!近赤外線ダメージと対策 第4回

年々高温多湿化する昨今、夏季の暑熱対策は、社会的にも大きな課題となっています。そして近赤外線の熱作用が、少なからず私たちの体温上昇に関わっていることがわかってきました。今回は、近赤外線研究会(現日本フォトダーマトロジー学会)前理事長である川島眞先生に、紫外線・近赤外線対策について光の害だけでなく熱作用の面からもお話を伺いました。

近赤外線の影響を考えると、日焼け止めにも紫外線・近赤外線カットが必要ですか?

これだけ近赤外線の害が明らかになってきたのですから、IRカットをするに越したことはないでしょう。しかし、まだ市場では、紫外線(UVA・UVB)カットの日焼け止めが主流で、赤外線(IR)遮断率の高い成分や製剤についてのデータも少ないのです。今後、光老化についての啓発が進むに伴い、近赤外線を含めた太陽光線カット効果のある日焼け止めも色々出てくることに期待したいと思います。

まだまだ知られていない、
近赤外線の害と近赤外線カットの重要性

近赤外線認知度のグラフ

※20-50代男女1500人 花王株式会社 スキンケア研究所 19年6月WEB調査による

サンスクリーン剤の遮断効果評価基準(SNIP)について教えてください。

私たちは近赤外線遮断率を測定する機器を開発し、「SNIP(スニップ:Score for NIR Protection)」という評価基準※を作りました。SNIPのスコアは4段階ですが、SNIP3で50%以上の遮断率ですので、日焼け止めであればかなり効果が高いといえます。UVのSPF値やPA値と同様、 SNIPもIR対策の啓発を目指して広く普及させていきたいですね。

※:サンスクリーン剤の近赤外線遮断効果の測定法と遮断効果評価基準(SNIP)Aesthetic Dermatology Vol.29:233〜238,2019

近赤外線カット効果のある日焼け止めで
体温上昇を緩和できたらどんな効果が…?

とくに屋外でのスポーツや仕事などの太陽光線に強く晒される場面では、近赤外線遮断率の高い日焼け止めをぜひ使っていただきたいですね。近赤外線による体温上昇や、暑熱による疲労の緩和に繋がるのであれば、スポーツをする人ならパフォーマンスの向上にも関係してくるはず。紫外線・近赤外線カットの日焼け止めを塗った状態と塗らない状態とで、1日スポーツをした場合の記録差を検証してみたいものですね。

POINT OF VIEW

アスリートに聞いた、初の近赤外線カット体験!

アスリートのみなさんに、練習中、紫外線&近赤外線カット効果のある日焼け止めをお試しいただき、その感想をうかがいました。<対象:5名>

肌のじりじり感が軽減したように感じる 5名/5名 体感温度の上昇が軽減したように感じる 5名 暑さによる疲労感が軽減したように感じる 4名 練習がラク、集中しやすいと感じる 4名 太陽光線があまり気にならなくなった 3名

ほかにも、睡眠が快適になったと感じる、コンディションが整えやすいと感じる、暑さによる体力消耗対策として、長時間外にいる時に使いたい、ハードな練習の時に使いたい、日焼け止めのカバー力がアップしたように感じる…といった感想をうかがっています。

IRカット体験モニターに協力くださったアスリートのみなさん 坂口 佳穂 選手 青木 優 選手 文元 慧 選手 平 和真 選手 物江 雄利 選手
川島 眞先生
1978年東京大学医学部卒業。アトピー性皮膚炎をはじめ、美容、皮膚ウイルス感染症、接触皮膚炎などを研究してきた東京女子医科大学名誉教授。日本香粧品学会前理事長、日本美容皮膚科学会前理事長、近赤外線研究会(現日本フォトダーマトロジー学会)前理事長、日本コスメティック協会理事長、皮膚の健康研究機構副理事長。
SHARE