東京
2019
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26.33
UV指数 6
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WHO : Global solar UV index-A practical guide-2002

今、注目される近赤外線とは
専門医に聞く!近赤外線ダメージと対策 第2回

一気に太陽光線が強くなる春を目前に、紫外線はもとより、今、注目されている近赤外線にも備えておきたいものです。本シリーズの第二回目のテーマは、長時間、太陽光線を浴びることによって生じる「光老化」について。皮膚科医であり、近赤外線研究会(現日本フォトダーマトロジー学会)の前理事長である川島眞先生に、光老化のメカニズムやリスクについてお話を伺いました。

光老化とは、
どのようなものですか?

光老化の症状としては、シワ、シミ、タルミなどが挙げられます。紫外線のUVBは炎症とシミ、UVAは、シワの原因を作る主役です。タルミにおいては、UVA、UVBの波長では届かない、真皮よりも下にある筋膜の辺りの構造に起こり、近赤外線が影響していることがわかってきました。もちろん、タルミは加齢のみによっても起こります。それでも、お尻などの太陽光線に晒されない部位の皮膚には、通常、顔に見られるような深いシワやタルミは見られません。顔などの太陽光線に晒される部位は、そうでない部位と明らかに違う構造変化が起きていることは容易に想像がつきます。

シミ発生の仕組み イメージ画像
シワ・タルミ発生の仕組み イメージ画像

「光老化」啓発プロジェクト委員会 ホームページより

https://www.hikari-rouka.org/

光老化が進むと、その先には…?

紫外線の急性の変化は、日焼けで真っ赤になるという現象。そして長年かかって出来たシワやシミは、太陽光線に曝露された慢性の刺激、蓄積の結果といえます。タルミは、近赤外線を慢性的に浴びた結果といえるでしょう。そして、光老化の最終結果は、「皮膚がん」です。皮膚がんの8割は、顔やうなじ、耳、手の甲などの光に晒される部位です。高齢化が進むに伴い、今後ますます皮膚がんを発症する人も増えてくると考えられます。私はその点からも、外出を始める乳児から高齢の方に至るまで日焼け止めの使用をお勧めしたいと考えています。

環境変化によって、
光老化のリスクは増えているのですか?

ここ10年くらいは、フロンガス削減などによって、オゾン層は回復傾向にあるといわれています。しかし、3~40年前に比べると、太陽光線の影響が非常に大きくなっていることは間違いありません。無防備な状態で、長時間、太陽光線を浴び続けることは、健康面でも美容面でもマイナスに働きます。近い将来には、紫外線(UV=Ultra Violet)だけでなく、近赤外線(NIR=Near InfraRed)含めた太陽光線を防御する日やけ止めが新しい常識になってくるのではないでしょうか。

POINT OF VIEW

肌の変化の原因は加齢だけではない!?

職業としてドライバーをしている方の一例ですが、いつも窓側で太陽光線を浴びている側はシミやシワ、タルミが非常に多く、反対側は肌のダメージが少ないそうです。肌の変化が、加齢だけでなく、太陽光線による光老化であることがわかってきています。みなさんも光老化には十分ご注意ください。

川島 眞先生
1978年東京大学医学部卒業。アトピー性皮膚炎をはじめ、美容、皮膚ウイルス感染症、接触皮膚炎などを研究してきた東京女子医科大学名誉教授。日本香粧品学会前理事長、日本美容皮膚科学会前理事長、近赤外線研究会(現日本フォトダーマトロジー学会)前理事長、日本コスメティック協会理事長、皮膚の健康研究機構副理事長。
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